写真素材 PIXTA

マル虫絵日記

イラストレーター マルヤマ ジュンのブログ

初めての岩手

旅にはハプニングが付き物の、僕です。


先週の8月2日と3日に岩手県に一人旅をしてきました。
なぜ岩手か?というと、とある事情で岩手までの新幹線の往復チケットが一人分余ってしまい、嫁さんの「一人旅でも行ってくれば。」という一言で、僕がそのチケットをいただけたのです。


そいういう訳で、初めて東北方面に行くことになりました。
しかし、僕ものんびりと一人旅する時間がとれず、1泊2日のスケジュールで行くことになりました。


初日は、東京駅から東北方面の新幹線に乗って北上まで行ったのですが、思いのほか時間がかかり(前日にサッカーを見ていて寝不足という事もあり)、北上に着いたのは、午後4時でした。
しかたなく、北上周辺をブラブラして、本屋で雑誌を眺め、近くのおいしいお店を見つけ夕飯にしました。



旅二日目、重要伝統的建造物群保存地区(通称:重伝建)である、金ヶ崎に行きました。
金ヶ崎は、江戸時代の武家の町並みが残るまちで、広い敷地と生垣、茅葺屋根などが特徴的です。
幾つかの建物は、一般公開もされていて、町をブラブラしながら建物見学をしました。

これは、旧大沼家侍住宅のスケッチです。
下級武士の為、建物も小じんまりとしていますが、中には床の間もあり、武士や家族、使用人ごとの入り口も別に設けられています。
また、建物の配置は、こっちの地方に多い「曲がり屋」ではなく、馬屋や便所などが離れになって別棟になっているのが特徴です。
今回は、建物などスケッチして水彩で色を着けてみたが、まだ水彩に不慣れな為、うまくいかず。


午後は、盛岡まで足をのばし岩手県立美術館へ行き「アール・ブリュット・ジャポネ展」を観賞しました。
夕方になり、そろそろ新幹線で帰ろうかと思い、駅弁やお土産などを買って、東北本線に乗り新花巻駅をめざしました。
が、ここで思わぬ事態が…。
埼玉などの一部の電車でもありますが、こっちの電車は、駅に着いても自動でドアが開かないのです。
ドアの横っちょにある開閉ボタンによって乗客が自らドアを開け閉めします。
僕も、それくらいの事は、なんとなく分かっていたので、新花巻駅に着いた時に、開閉ボタンを押しました。
が…。

ドアが開かない!「開くボタン」を何度押しても開かないのです。
そうこうしている間に電車は動き出してしましました。
ええー、と戸惑っていると車内アナウンスで「開くドアは一番前の車両の一番前のドアのみです。」とのこと。
僕は、そんなことも知らずに、一番最後尾の一番後ろのドアと格闘していたのでした。


やもなく次の駅で降りたら、もう辺りは真っ暗。そして、無人駅で近くに何もない…。

駅で降りればタクシーでもあるだろうという僕の期待はみごとに裏切られ、見えるのは、遠くの家の明かりのみです。
折り返しの電車は1時間以上も後。
これは、さすがにまずいと思って辺りを見ると、一人の女子高生が。
どうやら、地元の人のようで、親の迎えの車を待っている様子です。
この機会を逃したら、東京に帰る新幹線に間に合わないと思った僕は、勇気を出して、その子に話しかけました。

さすがに、いきなり変なおっさんに話しかけられて一瞬驚いていましたが、どうにか訳を話したところ、迎えに来るお母さんに話をしてくれるそうで。
車が来るまでの間、しばし当り障りのない会話をしました。
僕の思っていた通り、地元の子で、高校三年生、介護福祉の専門学校をめざしているとのこと。
僕が横浜から来た事を告げると、その子が「ここらへんて何にもないですよね。」と言っていましたが、僕はその時にその言葉に同意するような返事をしてしまいましたが、よくよく考えると、都会にあって地方にないモノ、地方にあって都会にないモノってどっちもあるんですよね。都会の方は物で溢れてるけど、地方にあるような自然はないですし、人はいっぱいいるけど、助け合う関係性は少なかったり。


そんな真面目な事などを思いつつ、やがてお母さんの車が来て、僕も一緒に乗せてもらい、新花巻駅まで送っていただきました。
いやー、本当に助かりました。お名前を聞き忘れましたが、僕はこのご恩は一生忘れずにいようと思います。


無事に新幹線に乗り、なんとか東京で終電に乗る事が出来、家に帰り着いたのは深夜1時半でした。
旅には、思わぬハプニングがありますが、今回はそれも良い思い出になりました。
震災によって、今でも大変な東北に、僕が出来ることはあまりないのかもしれませんが、それでもいつでも手助けしたいという気持ちは常にあります。そういう気持ちを常日頃から持ち続ける事も復興への手助けになるのではないかと。


そんな訳で、1泊2日でしたが、ワタワタ楽しい旅でした。


追記
旅行中、2度も学生さんですかと聞かれました。
素直に喜んでいいのか、いまひとつ微妙なお年頃の僕です。